食べること。お肉について

 食べることってなんだろう、とたまに考えます。もともと生きるために人は食べるわけですが、現代日本の食は多様化していますよね。生きるための食事、カラダを養うための食事、楽しむ食事、欲望を満たす食事、太らないための食事などなど、どう食べるかということの選択肢は様々です。私はまだ幼い頃、学校給食のお肉が苦手で、そのせいかお肉があまり好きではありませんでした。でも、小学校中学年頃には美味しくお肉をいただけるようになっていたようです。社会人になってからは、外食が続いて野菜不足の食事が多くなっていました。そんなあるとき体調不良がきっかけで4年半くらいヴェジタリアンの食事に切り替えたことがあります。菜食に切り替えた当初は慢性的にカラダに感じていた不快な重さが消えて、これは気持いいわとなりましたが、その後、長期間に亘って菜食を続けた結果、私の場合は栄養不足によるエネルギーダウンを感じるようになりました。ヴェジタリアンは体質によって合う人、合わない人があるようです。

今は魚介類や鶏肉はいただきますが、牛肉と豚肉は消化に重く感じるようになったので、ごくたまに少な目にいただく程度です。そんな私がずいぶん久しぶりに「食べてみたい!」と思う牛肉に出会いました。ご存知の方も多いと思いますが、それは松金という精肉店の松澤秀蔵さんの短角牛肉です。たまたま松澤さんの畜産のお話しを伺う機会に恵まれ、人の栄養に貢献する、良質な肉づくりの哲学に共感しました。松澤さんのお話しで特になるほどと思った内容を抜粋してご紹介します。「良質な肉牛を育てるには成長期に達してすぐに出荷するものでは難しいのです。成長期を過ぎてからしばらくの期間、それぞれの牛の性格を見極め、その牛にストレスのない環境や状況を与えてゆったりのびのびと育てることがとても重要になります。こうして育てた牛の肉は抗酸化力が非常に高く、香りもいい。肉の色も美しいものです。通常の成長期を迎えてすぐに出荷された牛肉は、ドリップ(生肉の状態で出る肉汁)の出やすいものとなり、味と栄養の効果が失われてしまいます。こうした一般的な牛肉と比較した数値の違いを示すデータも取れています」。

 牛舎で食肉用に育てられる牛たちは、基本的にコストの合理化を優先的に考えられた環境で育てられることが多いそうですが、狭い空間で餌をひたすら食べさせられるような空間は牛にとってストレスになると言います。ところがこの成長期までの期間を過ぎてから すぐには出荷せず、しばらく牛を牧草地などに解放して、ゆったりのびのびと過ごさせると、牛のストレスは解消されるのだそうです。

松澤さんの精肉店人生も含めた興味深い内容。

データの詳細は画像をクリックしてご覧ください。


しかも、ただ闇雲に牧草地に牛たちを放つのではないのです。1頭1頭の性格を考慮して、それぞれの性格に合った環境を整えてあげるというのです。
ここにジーンときてしまいました。これから食肉となってくれる(?)牛たちを少しでも尊重して面倒をみるというところに行きついたこの畜産法に、 自然界の循環の中で、命をいただくということに対する敬意と感謝が感じられるではないですか。そして、ストレスを解消してから出荷された 牛肉は高い抗酸化作用を発揮すると言う点にも妙に納得してしまいました。

例えば人もストレスが積もればお肌が荒れたり、顔色も冴えなくなるでしょう。もっとひどければ病気を発症することだってあります。
そう考えれば牛の場合もストレスによる不健康さが出てくるのは当然とも言えるわけです。しかし、我々素人には牛の顔色を感じ取ったり、牛肉の色艶でクオリティを見極めるということはなかなかできるものではありません。以前、食材の中でもお肉のクオリティは割と値段に比例すると聞いたことがあり、ちょっと高めのお肉がいいのかな? なんて判断するのがせいぜいでした。ですからこうしたポリシーのある畜産家の方がいらっしゃるということは大変有難いと感じるわけです。

 松澤さんがお話ししてくださった畜産の考え方をお聞きしてふと思ったのですが、こうした畜産の考え方は実は昔から日本にあったのかぁと。農作業用の機械がまだ発達していなかった

生の状態もきれいなドリップのないものでした。

ワサビを添えてさっぱりといただきます。


時代、日本の農村で牛は大切な働き手として家族同然に共に生きたという話を聞いたこともあり、そんなふうに自然と共生し、家畜も尊重していたスピリットと同じものなのではないかと思ったのです。

 早速、短角牛肉をお取り寄せしていただきました。お肉は本当に素人目にもきれいなもので、臭みは一切感じませんでした。どちらかというと昔ながらのお肉という風情で噛みごたえがあり、肉の旨みが深く、味がしっかりありました。面白かったのは、もうあまりお肉は食べられないと言っていた74歳の母がいつになく食べ、食事中に急に肌の色が明るくなり、明らかに艶が出たことです。ドンピシャで摂る食事は薬なんてものではなくカラダに効くといいますが、その時必要な栄養をその人の消化力に合わせて、より良い食物からいただくということはこんなにすごい! ということを目の当たりにしたのでした。

 

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