目からウロコの The 美肌道
第6話 乾燥からお肌を守る『保湿』の真相
洗わない洗顔で保湿?
さて。衝撃の角質ケアサロン体験から数年のブランクを経て、また美容ページを担当することになって検証した巷の美容法のお話を一つ。
乾燥肌に悩む女性がここ二十年くらいで急激に増えていると言われています。今や美しい素肌を守るためには保湿が一番重要であるということは、女性であれば誰もが知る常識と言っても過言ではありません。中でも保湿力の高い美容液や高級クリームは、世間に不況の嵐が吹き荒れても、決して売り上げが落ちないという神話を作り、無敵の地位を確立したのでした。これは、お父さんのお小遣いよりも、お母さんのカサつき肌問題が優先されたということでしょうか。
そんな乾燥を嫌う女性たちに向けて、水を使わないクレンジングや洗顔を提案している化粧品がいくつかあります。肌は洗顔し過ぎると必要な皮脂や水分を奪われることがあり、最も安心なのは水を使わないことだと言うのです。
水で流す洗顔をしない‐‐これを何カ月も何年も実践している人たちがいると。
正直、信じ難いと思いました。しかし、もし水を使わないクレンジングや洗顔が本当に肌に良いものであるなら、お手入れがラクチンそうでいいなぁ…(くらり)…そして何より肌の乾燥が改善されるなら…(くらり)…と思ってしまったのです。
そこでリサーチを始めてみました。実際に1カ月以上、顔を洗っていないという美容ページの担当者に聞いてみると…。
パリジェンヌは滅多に顔を洗わない?!
「パリの女性で2~3カ月洗顔しないって人、多いらしいよ」
「えー? 2~3カ月も?」
「ヨーロッパって空気が乾燥しているから洗顔なんてしたら顔がパリパリになっちゃうんだって。だから肌の乾燥を気にする人は、メイク落としをするとき水で流したりするなんて、とんでもない! って感じで、それが常識らしいよ」
「そんな常識が…?」
「保湿化粧水をたっぷり含ませたコットンを、一回で何十枚も使って拭き取るんだって。汚れを落としながら同時に保湿するってことだよね」
「でも、拭き取るって、一体コットンを何枚使うの? 化粧水にしたってあっという間になくならない?」
「実はここ2カ月くらい洗わない洗顔をしているんだけど、コットンは一回で15枚くらいで済ませるようにしてる。本当はもっと使って丁寧にしたほうがいいらしいんだけどね。化粧水もすぐなくなっちゃうけど肌は乾燥しなくなるみたい。ずっと続けていて調子いいと思ってる」
「でも、思いっきり顔をバシャバシャと洗いたい衝動には駆られたりしないの?」
「うーん。正直、洗いたくなるよね。実はたまに普通にバシャバシャ洗顔しちゃってるんだけど、基本はコットンで拭き取りかな」
「へー」
これが一つ目のリサーチ。
彼女の肌を観察してみると、これといった変化はなく、いつも通りにきれいな感じでした。
しかし、その後やたらとコンビニへ出かける人を引き止めては「一番高い化粧用コットンを買ってきて」と、お願いしまくる彼女を頻繁に目撃し、コットン消費の激しさを実感。肌を摩擦するものだけに上質なものでなければ負担を感じるに違いなく、これは大変な美容法だと感じたものです。ちなみに、コットンの品質は値段に比例していると言われています。
拭き取るだけの洗顔ってどうなのよ?
二つ目のリサーチは10年選手の美容ページ担当者です。
こちらもごく当たり前のようにメイクは拭き取りタイプを使っていると言うのです。意外に思ったわたしは「簡単でいいけど、それってお肌にはどうなの?」と疑問を投げかけてみました。すると「あら、これでいいじゃない? ちゃんと取れているわよ」と言うのでした。「その拭き取りって時々疲れているときとかに使うの? それとも毎日?」という問いかけにも「うーん、ほぼ毎日かな」でした。
長年美容のお仕事に携わり、多くの美容アイテムを知っている人が実践しているのだから…やはり簡単な上に悪くはないのかしら…うーん…しかし納得いかない…真実を確かめたい!
こうなったら体験あるのみです。まずは一番高い化粧用コットンを何箱も買い込み、上質・高級と言われる保湿化粧水をバシャバシャと使って水を使わない洗顔を1カ月近く続けてみたのでした。
洗わない洗顔でくすみの膜が
その結果は……肌が乾燥してつっぱる感覚を覚えることがなくなり、最初は調子良く進んで行ったかのようです。そして二週間後。乾燥する感覚はないのですが、なんだかお肌の調子がいつもと微妙に違うのです。なんというか、顔に一枚の薄い膜が張られたような鈍い圧迫感や違和感がありました。そして、明らかに顔色がくすんできていました。さらに一週間くらい頑張りましたが限界を感じて、思いっきりシャワーで洗顔。その気持ち良かったことといったら!
その日から以前のクレンジングと洗顔に戻したのですが、とき既に遅し。顔のくすみが定着してしまいました。
これはまずい! と後悔しました。
したのに! 一度ラクをすると癖になり、疲れている日だけよ、と、自分に言い訳をしながら、簡単にメイクを拭き取る習慣がついてしまったのです。
絶望的です。なぜなら、その頃のわたしは毎晩完璧に疲れていたのですから。